腸内細菌はどのようにして記憶に影響するのか。その秘密は乳酸菌にあった?(国際研究)
腸内細菌と記憶の関係
ある国際的な研究チームは腸内細菌と記憶との関係を追っている。彼らによれば、腸内細菌と記憶との関係には、遺伝子や腸内で作られた「乳酸」が関与しているらしい。
記憶と腸内細菌という一見まるで縁のなさそうなものの関係は、ここ数年で大きく関心が高まってきている。これに関するこれまでの研究は、私たちのお腹の中に潜んでいる細菌の中には記憶と関係しているものがあることを示している。
だが今回、パシフィック・ノースウェスト・ナショナル・ラボラトリ(アメリカ)のジャネット・ヤンソン氏らは、その不思議な関係に遺伝子という新しい切り口で迫っている。
人間の遺伝的多様性を模倣したマウスモデルの実験
そのために採用されたのが、「共同交配(Collaborative Cross)マウス」というモデルだ。共同交配マウスは、多系統から作られた多様な遺伝子を持つマウスで、この研究では人間の人口が持つ幅広い遺伝的多様性を模倣している。
まず用意されたのは、29系統のマウスだ。各系統のマウスに記憶テストを行い、ここから記憶力に関連する2セットの遺伝子が特定された。その1つは135の遺伝子で構成されており、これまで記憶や認知と関連するとは知られていなかったものだという。
そのうえで、マウスの腸内細菌を検査し、遺伝子が記憶力と腸内細菌との関係に与える影響を突き止める。
乳酸菌が記憶力を改善する?
その結果、まず分かったのは、記憶力と一番関連しているらしい腸内細菌は、あの乳酸菌の一種であるラクトバチルス属の細菌であるらしことだ。とりわけ記憶力アップに効果があるのは、「ラクトバチルス・ロイテリ菌」であるそうだ。
無菌のマウスにロイテリ菌を与えてみたところ、他の菌を与えられた無菌マウスよりも、記憶力改善効果が高かったことが確認された。
また、ラクトバチルス菌の記憶力改善効果は、「乳酸」によるものであるらしいことも分かっている。乳酸は、ラクトバチルス菌ならば量の差はあれ普通に作り出している主な代謝産物だ。
実際、この乳酸を記憶力が弱いマウスに直接与えてみると、著しい改善が見られたという。
じつは過去にも乳酸が認知プロセスに与える影響を調査した研究はいくつもある。そうした研究によると、血液脳関門を通過することができる乳酸は、腸内細菌が脳に影響を与える経路であるらしいことが示唆されている。
腸内細菌と遺伝子のタッグ
なお、こうしたラクトバチルス菌と記憶力との関係はこれまでも知られていたが、今回の場合は、バイアスのないゲノムスクリーニングが行われている点が新しいのだという。
このことからは、遺伝子もまた腸内細菌と記憶の関係に関与している可能性が示唆されているそうだ。「この研究から、腸内細菌が遺伝子とタッグを組んで、記憶に影響を与えている可能性が明らかになりました」と、ヤンソン氏は話す。
乳酸菌や乳酸が記憶に関係しているのならば、それらが豊富に含まれる食品を食べることで、記憶力アップを図ることができるのでは? と期待してしまうだろう。
実際、ヤンソン氏も、彼女らの研究は食事・遺伝子・行動(記憶など)が関連しているという説を裏付けていると話している。
ただし現時点では、遺伝子のパターンがどのようにして腸内細菌の活動に影響してるのかまでは分かっていない。
さらに人体でも試してみるなどして、今後もこうした遺伝子と腸内細菌と記憶が相互に関連するメカニズムを確かめていく必要があるとのことだ。
この研究は『Microbiome』(4月17日付)に掲載された。
【赤嶺コメント】
腸内細菌が記憶に関与する。うんうん、当然だと思うし、運動神経にも耐久力にも寒さにも暑さにも、今病名のついているほとんどの病気に関与していることは間違いないと思う。運動神経や耐久力、熱対応等のエビデンスはできているし、病気の根源は2点のみとなる。
ガンやアトピなどは自律系の範疇であり、脳梗塞や心筋梗塞などは動脈硬化系の病気ですが、これら2つの分野は、腸内細菌の働きで恒常性維持している。ということは、当方が行っているアトピー性皮膚炎関連も含めて、腸内細菌整備できれば、多くの病気は治るというより発生しないことになりますね。発症前に整備していれば予防できるのです。
腸内細菌整備イコール予防医学となりますし、アトピー克服すれば再発しないというのはこのためです。
また、このプレスでは、人間のDNA遺伝子が、腸内細菌を左右しているような表現になっていますが、実は人間の持っている遺伝子は23000個であり、マウスの遺伝子は26000個とマウスの方が多いのです。しかし、人間は高度で複雑な機能を獲得しているのはなぜでしょうか?
それはあ、人間は腸内細菌1200万個の遺伝子によって生かされているということなのです。この腸内細菌を整備することで、難しい病気や苦しみや今回の記憶喪失(痴呆等)なども予防できるということです。
極端ですが、今の悩みは腸内細菌整備で解決するということです。でも、この世の中で一番難しいとされる病気のアトピー性皮膚炎をあえて選択し、再発無しの完全克服で腸内細菌遺伝子理論を証明するべく活動しているのです。
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