「無菌であることがからだに良いわけではない」と腸内細菌の研究者~コロナ禍で敵視~

プレス批評
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西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「人と細菌の関係」について。

【ポイント】

(1)体の細胞1個につき微生物の細胞が9個いる
(2)微生物とヒトの遺伝子が一緒に体を動かす
(3)菌たちと賢くつきあっていく知恵が必要

 コロナ騒ぎを経験して、ウイルスや細菌は“人類の敵だ”という思いを強くした人が多いのではないでしょうか。外出時にはマスクを欠かさずつけて、毎日、手をアルコールで消毒していたら、そういう気持ちになっても不思議ではありません。ところが、本当はそうとは言えないところがあるのです。

『あなたの体は9割が細菌』(アランナ・コリン著、矢野真千子訳、河出書房新社)という本にこう書かれています。

「あなたという存在には、血と肉と筋肉と骨、脳と皮膚だけでなく、細菌と菌類が含まれている。あなたの体はあなたのものである以上に、微生物のものでもあるのだ。

微生物は腸管内だけで100兆個存在し、海のサンゴ礁のように生態系を作っている。およそ4000種の微生物がそれぞれの小さなニッチを開拓し、長さ1・5メートルの大腸表面を覆う襞に隠れるように暮らしている」

 この本によると、自分の体の細胞1個につき微生物の細胞9個が乗っかっているのだといいます。つまり、「あなたの体のうち、ヒトの部分は10%しかない」(同書)というわけです。

 ヒトのDNAの遺伝情報を解明しようという「ヒトゲノム・プロジェクト」が進められ、その結果、ヒト遺伝子は2万1千個程度であることがわかってきています。

ところが、人の体にすむ微生物全体の遺伝子の総数は440万個になるというのです(同書)。この遺伝子の集合体をマイクロバイオームといいます。

 ヒトゲノム・プロジェクトに続いて、この微生物全体の遺伝情報を調べる「ヒトマイクロバイオーム・プロジェクト」が始まりました。

というのも、マイクロバイオームが様々な疾患に関わっていることがわかってきているからです。不眠症、うつ病、パーキンソン病、動脈硬化、糖尿病、リウマチ、アトピー性皮膚炎などです。

つまり微生物の440万個の遺伝子は、2万1千個のヒト遺伝子と一緒になって、私たちの体を動かしているのです。

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 こうした考え方の先駆けとなったのが、東京大学名誉教授、光岡知足先生の腸内細菌の研究です。

光岡先生は、1950年代に腸内の様々な細菌は共生し、一つの生態系を作っているという発想で研究を本格化させました。近ごろよく聞く腸内フローラ(腸内細菌叢)というとらえ方です。

 腸内細菌を善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けて説明したのも光岡先生です。私もお会いしたことがありますが、その研究の先駆性から、ノーベル賞をとるのではと言われていました。

 その光岡先生はこうおっしゃっています。

「無菌であることが体に良いわけではないのです。近年、急増しているアトピーや花粉症などのアレルギー疾患も、菌たちを遠ざけてきた私たちの生き方によって免疫の過剰反応を引き起されたと考えられます。今後は菌たちを遠ざけるのではなく、賢くつきあっていく知恵が必要でしょう」
(『人の健康は腸内細菌で決まる!』技術評論社)

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【赤嶺コメント】

帯津先生も80歳超えたんだろうけど元気ですね。ホリスティック医学の第一人者であり、西洋医学でない多くの療法を推進されている憧れの先生でもある。なんてたってお人柄なんでしょう、多くのファンが付かれ、100冊以上の著書も出されており、影響力大ですね。本当にすごい先生です。皮膚科医の先生方も見習えば、アトピーの方々も安心な治療ができると思うのだけど・・・無理でしょうね。

光岡先生はさらに先輩であり、一般社団法人 エンテロビオティック協会立ち上げの設立講演会でお世話になりました。また、腸内細菌研究では第一人者であり、当方も設立当初には、光岡先生の書籍から多くを学習させていただきました。

今は、腸内細菌の遺伝子が重要視されています。腸内細菌以外の遺伝子は2万1千個であり、200倍以上ある腸内細菌遺伝子で人間は生きているということになりますね。すべての病気のキーパーソンとなっています。

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